プログラム概要

名   称: 日本学術振興会・組織的な大学院教育改革推進プログラム
取 組 名: システム創成プロフェッショナルプログラム

大学院専攻: 大阪大学大学院基礎工学研究科・システム創成専攻
取組代表者: 占部伸二
期   間: 平成21〜23年度(3年間)

 大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻では、基礎工学研究科の理念である「科学と技術の融合」により将来の様々なシステム(電子、光、量子、情報、ロボット、社会、数理などの諸システム)を創成する高度な人材を養成することを目標に、国際性と学際性を意識し未踏領域を切り開く先見性、構成力等の総合力の育成に取り組んでいます。将来のシステム創成を担う高度人材の育成のため、基礎工学研究科の教育目的

  1. 確固たる専門知識に基づき基礎から応用にわたる研究開発を推進できる研究者・技術者
  2. 高い専門性と広い知識をもって学際新領域を開拓する科学者・研究者
  3. 自立した研究開発能力を有する国際的リーダー
を達成するために大学院実質化改革を進める。従来型の研究力育成の教育を横糸に、学際展開力・国際力・社会力を縦糸にする重畳型コースワークを構成することで、様々な資質同士が強固な織物をなす、システム創成の次世代プロフェッショナル人材の育成を目指します。以下の三つの観点に基づく教育実質化を行い、大学院教育改革推進室の機動的なリーダーシップに基づき研究科内外の委員会等各種関連組織との協力で有機的に連携させることで、博士後期課程への進学奨励を前提とする5年一貫型教育を意識し、専攻内の4学問領域毎に内在してきた優れた教育方法論を融合し専攻全体で平準化する三位一体の教育総合コースワークを提供します。

(a)最先端高度専門教育実質化: 専攻が提供する基盤専門カリキュラムでカバーしきれない最先端研究分野を、工学研究科、理学研究科、各研究センター等の学内組織と学際融合教育研究センターを通じて連携し、研究系の高度副プログラムとして履修を組み込みます。博士後期課程学生を研究分野毎に適した海外大学に研究留学派遣することで、最先端の研究動向を調査研究させる課程を組み込みます。

(b)学際新領域教育実質化: 基礎工学研究科が提供できない学際領域カリキュラムを、コミュニケーションデザイン・センター等の学内組織と学際融合教育研究センターを通じて連携し、学際系の大学院高度副プログラム(文系も含めた幅広い分野の素養を身につけるとともに高度な専門性を獲得させるための教育プログラム。修了時にプログラム修了認定証発行)として履修を組み込む。学生の動機付け、幅広い学際的高度知識の体得のために、従来のレポート中心の成績評価を改め、欧米並みの筆記テストを中心とした成績評価へ移行する。これらを達成するための成績厳密化FDや教員の達成度事後評価を行います。

(c)自発的研究力啓発実質化: 我国の大学院学生に共通する自発的研究力不足の根本的解決のために、英語による研究討論を組み入れ、将来のシステム創成を担う高度人材に必要な論理力、表現力、語学力を体得させます。具体的には、海外受入留学生を交えた討論、自発的発表を英語で行う英語プレゼンテーション、自由な研究構想力を養成するための研究提案を訓練させるとともに、研究留学による研究成果報告と発表、およびその体験を多面的に討論することで「領域研究」単位の評価に組み込みます。提携企業の研究開発部門に短長期で派遣する研究インターンシップを積極的に進め、終了後の報告発表討論を義務づけることで、「研究インターンシップ」の単位として、履修に組み込みます。
 博士後期課程学生は、国際学生フォーラムや、主要8大学の学生と共同する国内学生フォーラムの学生自主開催を、リーダーシップ力を涵養する研修として組み込みます。
 研究開発の即戦力人材として企業就職する米国大学院生に対して、国内卒の大学院生は企業でのチーム活動に不可欠なコミュニケーション能力の不足が、中教審、経産省他で「社会人基礎力」の欠如として指摘されています。これは、初等教育から高等教育まで様々なレベルや文化を有する人との交流の機会と経験が米国に比べて圧倒的に乏しいことに起因しています。そこで、他研究室のスタッフや学生と交流させるラボインターンシップなど、異ディシプリンの人間(教員、学生とも)と体系的・機能的に交流させる人間交差(ヒューマンスクランブル)型のプログラムを提供します。
 学内に研修提供ノウハウが乏しい社会力の技能研修「ビジネス人材能力検定に基づく学生自己分析」、キャリアアップ研修、技術英語執筆研修は外部専門業者等と積極的に提携し、研修単元を学内に蓄積すると同時にその電子化を行い、教育情報システムにより様々な技能研修を永続化します。これは、学生個人資質、教育課程と達成度目標を可視化するもの(院生ポートフォリオ)として、学生本人はもとより複数指導教員間の教育意識の共通化、可視化に資します。
 本教育プログラムは、これまで個別教員の努力で展開されてきたこれら三つの実質化を、組織的コースワークに統合し、その相乗効果と学生へのコースワークを明示化・可視化したものを、「国際リーダーシップ育成人間交差型コースワーク」と呼び、大学院教育を社会ニーズに基づく国際化と学際化の高度に推進することを目指します。そして、高い専門性と自立した研究能力を有する、世界に通用する高度プロフェッショナル人材の継続的輩出の基盤整備を最終目標とします。